2010-05-21(Fri)
屋久島紀行

淀川(ヨドゴウ)の上部、中俣までの間は、屋久島の中でもとびきり幻想的で美しい渓谷美を見せてくれる。
それは、夢に出てくる様な渓流の姿で、
だから実際に歩いていると、
自分が今、夢の中にいるのか、本当の現実の中にいるのか分からなくなってしまう。
小雨が降っていたが、
それがまたこの沢には似合ったりする。
枝から落ちる水滴が、きれいな波紋を見せてくれた。


この沢は、いかにも屋久島的な風景をそこかしこで見せてくれて、
どこを向いても、何時間いても飽きることがない。
いったいいつ頃、この場所にごろごろと流れ着いてきたのか…
大きな卵の様な石が転がっていた。

屋久島といえば屋久杉の森だが、こんな景色もまた屋久島らしい。
今回で、私が屋久島を訪れたのは13回目。
杉だけが屋久島では無い。

と言いつつも、しっかりと会っておきたいのがこの大王杉だ。
縄文杉の様な圧倒的な存在感は無くて、何かしら考え事をしているとそのまま通りすぎてしまう。
しかし、ふと何かしら気配を感じて見上げると…じっと私たちを見ている大きな大きな姿がそこにある。
何も言わず、ただそこにいるだけ。だけどじっと見つめてくれている姿は、
無口だが優しく、怒り出せば怖い怖い…父親の様な透明な存在感だ。

縄文杉はいつ会っても堂々としている。
でも、なぜかしら寂しくて、悲しい気分になってしまうのは私だけだろうか…
沢山の人の視線にさらされて、素っ裸の肌を大勢に刺されている姿を想像してしまう。
島の長老達とは、できれば霧に包まれた中、
ただ1人でひっそりと、ビクビクしながら会うのがよい。
そんなこと考えるのは、私だけだろうか…

皆さんご存じのウイルソン株のハートマークだ。
最近は沢山の雑誌や絵はがきにも、この構図が使われ出した。
でも私が最初に屋久島を訪れた頃には、こんな構図の写真は無かった。
私が初めて株の中に入ったとき、空に抜ける空間から見えるまっすぐな杉の木を取りたくて、
しかし立ったままでは画角的に穴全体がフレームの中に入らなかったので、
カメラを地面に置いてノーファインダーで取ったら、偶然にハートマークが撮れたのだ。
それを同行した地元のガイドさんに見せたら、「あっ、ハートマークだ」とびっくりしていた。
そのときは、あれ?地元なのに知らなかったの?と思ったが…

今回偶然に会った、私が初めてウイルソン株に入った時に一緒だった吉原ガイド(右はじ)。
すれ違うとき、「あの人がウイルソン株のハートマークを見つけた人です~!」と、
お客さん達に話し出した。…恥ずかしかった。が、ちょっとうれしいかな。。


屋久島の森は、いつ訪れてもパワーがもらえる。
今年中にまた行きたいと思っている。

2010.05/17-21 K&K